・・・それは去る2002年7月6日の午後10時半頃であったろうか、一仕事終えての帰宅の道すがら、 あと数分で我が寮へと辿りつかんとしていたとき、ふと地面を見やるとなにやらもぞもぞともがいている。 「クワガタか?」と思い、よーく目をこらしてみると、そこにはひっくり返ってもがいているセミの幼虫が いたのであった・・・
・・・とまぁこんな感じでセミの幼虫を無事保護、部屋に持ち帰っては見たものの、部屋中どこを見回しても 羽化の舞台となるような木など見当たりません。木・・・!ありました。ベランダにはクワガタの産卵に使用 した産卵木がいくつか転がったままになっていましたので、手ごろなものを選んでセミの幼虫にあてがって やったのでした。その後数分間は、その産卵木を物色するように動き回っておりましたが、やがてすぐに ポジションを堅め、じっと動かなくなってしまいました。
午後10時57分頃の状態です。ポジションが決まった後も足を何度も動かしていて、まるで微調整をしている かのようでした。足も動かなくなると、今度は背中を丸めるように力をいれる動作を始めました。
午後11時3分頃の状態です。背中に割れ目が入っているのがおわかりでしょうか。
午後11時5分頃の状態です。もう誰が見てもわかりますね。
午後11時10分頃の状態です。頭の部分が見え始めています。
午後11時13分頃の状態です。ここまでの頭を出す過程は15分程度かかっています。ここからは足と 羽を出す過程に入ります。
午後11時16分頃の状態です。前足が出、中足も出かかっています。体全体もそうですが、羽が メタリックに輝く様は実に神秘的です。
午後11時20分頃の状態です。少し前に中足が、その後羽が出てきました。このあたりの状態は 小学生の理科の教科書なんかでよく目にしましたよね。そしてこの後はまたしても動かなくなります。 なんでも、足が固まるのを待っているのだとか・・・
午後11時38分頃の状態です。足をジタバタさせ始めたかと思うと徐に自らの抜け殻につかまろうとします。 それがかなうと・・・
このように最後まで抜け殻に残していた部分を外に出し、遂に脱皮そのものは終了しました。次は羽が伸びる 過程に入ります。
午後11時43分頃の状態です。ただひたすら羽が伸びるのを待ちます。
午前0時00分頃の状態です。左右で羽の長さが違いますが大丈夫でしょうか・・・
午前0時15分頃の状態です。左右の長さの違いも無事直り、すらりと伸びてくれました。でも、よくよく見ると 羽が開き気味で、しかも内側の羽がまだ伸び切っていません。また、この段階ではまだ羽の色も体の色も 脱皮時と変わっていない様子です。
午前0時30分頃の状態です。内側の羽もきれいに伸び、完全に閉じました。これで後は体全体が固まるのを 待つのみです。よく見ると、前足だけで抜け殻にぶらさがっているのですがおわかりでしょうか・・・しかし、 この時点においても完成していない部分があります。それは・・・
交接器部分はこの状態でもまだ完成していません。
・・・一通り変態の各場面を画像に収める事ができ、残すは体色の変化のみとなりましたので仕事に備えて 寝ることにしました。そして翌朝、「バタバタ」という音で目を覚ますと、そこにはすっかり体が出来上がった クマゼミがのたうちまわっていました(-_-;)。ここで体を傷つけてしまっては元も子もありませんので、画像の 撮影を断念し、リリースしてやりました。セミは成虫になると2週間程度しか生きられないそうです。あのクマゼミ にはせめて精一杯生き抜いてほしいものです。